灰色の濁った空からしんしんと雪が舞い降りる。
北の果てに近いこの地では雪の降らない日はめずらしい。
ざくざくと踏みつける雪に残った足跡もあと数時間もすれば跡形もなく消えるだろう。



「こりゃ、今日こそ雪かきしないとダメかもなぁ」



ミリタリーコートのポケットに手を入れたまま歩いていたザックスが肩を震わせながら言う。
ちらりと横を歩く長い銀髪の青年を見やるが彼からの返答はない。
もともと期待していなかったのかすぐに視線を外すと再び前を見て歩き出した。
彼――セフィロスは元はといえばザックスの上司にあたる。
以前所属していた組織の任務で一緒になってからは親交を深め、その関係は友人だと言っていいだろう。
少なくとも彼はそう思っている。
――何時からこうなってしまったのか。
ザックスの知る限り、彼は自分の感情をストレートに表現するのが苦手なだけで決して他人をないがしろにするような人物ではなかった。
恐れて、いるのか。
視界に入ってきた小さな村でセフィロスの帰りを待つちいさな姫君の事を。
ザックスはもうもう一度セフィロスを横目で見るが、長い髪に紛れて彼の表情を読み取ることはできなかった。


雪が本降りになってきた頃二人は村に足を踏み入れた。
村といっても家が数軒建っているだけで、住人はこの二人を含め十数人程度しかいない。
不便さは多々あるものの都会の喧騒の中で暮らすよりもこういった静かなところで暮らすほうが性に合っているとセフィロスは思っていた。
彼女にとっても、きっとここで暮らしたほうがいい筈だ。――そう、信じたい。

「じゃ、俺も戻るわ〜。またな」

村の中間あたりでザックスは片手を振りながら自宅へと戻っていった。
先ほどから彼が自分の顔色を伺っているのには気付いていたが敢えて反応する気にもなれなかった。

村の一番奥に位置する屋敷の前に立つとセフィロスはそっと目を閉じる。
どうか、あの子が戻ってきていますように。
無意識のうちにそう祈ると、彼は屋敷の扉を開けて迷うことなく階段を上り少女がいるであろう部屋の扉を開けた。



「…おかえりなさい」



発せられた声は"あの子"のものではなくて。
期待は裏切られて消え去った。
セフィロスはそっと微笑むと静かに言う。


「――ただいま、






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なんかちまちま出してすいません…。

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