今日も空から雪が降る。
なかなか止むことのないそれは必死に雪をどかして作り上げた道を再び埋めていく。
その様子をザックスはコーヒーを啜り眉間に皺を寄せながら眺めていた。
「そんなこと言ったってここはそういう場所だから、しょうがないよね」
「でもこう毎日やってるといい加減ダルいといいますか…」
「雪かきって力仕事だし。力仕事は男の仕事だ!って言ってたの、だれだったかなぁ」
放っておいてまた大変になる前に早くやっちゃいなよというエアリスの言葉に、コーヒー飲み終わったらね〜と投げやりに答える。
再びカップに口を付けてコーヒーを啜りながら窓の外に目をやるとがひとりでふらふらと歩いていた。
銀色の長い髪に雪がついてきらきらと光っている。この寒い中、コートも着ないで何をやっているのだろうか。
一気にコーヒーを飲み干して若干むせ込みながらザックスは慌てて外へ出た。
「!」
声をかけると少女はびっくりしたようにこちらを振り返る。心なしか目が赤い。
「何してんだよ。こんな寒いのに、コートも着ないで」
「………。」
「また風邪ひいちまうぞ」
「………。」
「なー、ひめさま聞いてる?」
少女は俯いたまま何も言わない。
とりあえずこのまま放っておいて風邪でも引かれたら困る。細い肩を抱いて家に連れて行こうとするが、は足を踏ん張って動こうとしなかった。
こんなに頑固になっているということは明らかに何かあった証拠だ。
雪に膝をついて顔を覗き込むとは蒼く大きな瞳一杯に涙を溜めていた。必死にそれをこぼすまいと強く唇を噛み締めて。
「…どした?」
ぎょっとして、一瞬悩んだ後、銀色の頭をそっと撫でてやるとはさらに強く唇を噛み締めた。
これ以上力を入れたらそのまま噛み切ってしまうんじゃないだろうか。
とりあえず家に来いよとザックスは小さな手を引いて家に向かった。
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なんかちまちま以下略
次くらいからやっと記憶喪失云々の話が入る予定。あくまで予定。
因みにコーヒーの飲み方一覧↓
せっちゃん→ブラックにブランデーを突っ込んで飲む。というかアルコールの分量のほうが多そう。
ひめ→ミルクと砂糖たっぷり
ザッ君→上に同じ
エアリス→ほどよくミルクと砂糖を入れて飲む
話よりこういう小ネタを考えるほうが好きです(笑)